1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
起こされると、本当に昼休みで、隣に居る神野くんは苦笑を浮かべていました。
「そんなきついなら、休んでればよかったのに」
「…テスト心配なんです」
「テストなら、俺が教えてやる。何が苦手なんだ」
「…社会嫌いです」
「分かった。晴野が社会楽しく覚えれる方法も教えてやる。業後図書館な」
「…うん」
「大丈夫だ。絶対に他の奴らには気づかせない」
なんでこんなによくしてくれるのか分からないけど、神野くんはやっぱり眩しいです。
でも、その光の中にいたいって思うのも事実です。
不思議ですね。前まではあんなに嫌だったのに…。
不意に、ポケットに入っていた携帯のバイブが着信を告げる。
見れば、朔夜さんからで昼休みに屋上に来るように言われていたのを忘れていました。
「…行きたくない」
「どっか行くのか」
「…呼び出されてるの忘れていました」
「男?」
「…間違いではありません」
「じゃあ、行かなくていいんじゃね。ここに居たいなら、ここに居ればいい」
…確かに、そうですね。
無理に行かなくてもいいと思います。
それに、行けば絶対に聞かれる。そんなの嫌です。
なら、聞いて来ない神野くんが近くに居る方が楽ちんです。