1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「ここにいます」
「ん、そうしろ」
朔夜さんごめんなさい。
携帯の電源を落として、机に伏せる。
神野くんが苦笑を浮かべた気がしたましたが、まぁいいです。
昼休みも半分を切って残り10分くらいになった頃、ガタンッとまたまた大きな音を立てて雷斗くん登場で奇声が上がる。
うぅ、うるさい…。
「…晴野さん、ちょっといい?」
雷斗くんが目の前にいるのが分かる。
でも、行きたくないんです。話したくない…。
無視して机に伏したままでいると、肩を持たれました。
うぅ、強引です。
「晴野さん!」
「おい、やめろよ」
神野くんの声が雷斗くんの声を遮りました。
「神野には関係ないでしょ!」
「晴野ずっと体調悪そうなんだよ。下手に刺激すんな。体調悪い奴無理矢理起こしてどうするつもりなんだよ」
「…神野によもちゃんの何がッ!」
「は?よもちゃん?」
一瞬でクラス中が静まり返った。
雷斗くん何言ってるんですか!?
恐る恐る顔を上げると、しまったという様な雷斗くんの顔。
神野くんは疑う様に雷斗くんを睨みつけている。
「ねぇ、今雷斗くん晴野さんのことよもちゃんって言わなかった?」
「うっそ、なんで?」
最悪です。なんでこうなっちゃうの…?
嫌だ、もうあんな風になりたくないっ
「え、よ…晴野さん!?」
「晴野!!」
嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!
もう、いじめられたくない!
かばんも持たず教室を飛び出した私を、神野くんだけが追いかけて来る。