1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 学校を飛び出して、たどり着いたのはこの前来た公園で、誰もいないベンチでうずくまった。


 怖いよ…。
 やっと静かになれると思ったのに…。


 少しだけ遅れてやって来た神野くんは、ベンチでうずくまる私に気が付くと、すぐに駆け寄ってきました。

「晴野、大丈夫か」

「…怖いんです。私、キラキラした世界の人が怖い…」

「だから、俺にも話しかけてほしくなかった?」

「…うん。女の子たちが怖い…」

「…大丈夫だ。絶対に学校で俺から離れんな。呼びだされても無理しろ。俺から離れない限り、絶対にいじめなんか起こさせねぇから」

 頭を撫でる手があったかいです…。

 顔を上げると、神野くんは笑っていて、涙を拭ってくれました。

 なんでだろう、少しだけ安心します。
 お父さんやお母さんとは違う安心感がある。

「晴野、かばんだけ取りに戻ろうぜ」

「すみません、授業…」

「大丈夫。あんぐらい教科書見ればわかる」

 謝んなくていいからと手を引っ張り上げられました。

 2人で歩いて学校に戻る。こんなところ見られたらという恐怖はなぜか感じませんでした。
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