1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
2人で学校に戻ると、ちょうど授業が終わったところで、クラスメイトからの視線をもろに受けました。
思わず立ちすくむ私を、神野くんが庇うように前に立ってくれて、その視線を防いでくれました。
「秋空くん、晴野さんとどこ行ってたの?」
「関係ねぇだろ。晴野、帰ろうぜ」
「…うん」
教室に入ると、やっぱり視線が痛い。
そうだよね、人気者の雷斗くんにあだ名で呼ばれ、神野くんとは授業抜け出したんだもん。
神野くんはそんな視線を一切気にすることなくかばんを持つと、私の分のカバンも持ってくれる。
片手に2人分のカバンを持つと、神野くんは開いた手を差し出してくれる。
繋げって事かな…でも、視線が怖い…。
手を差し出さずにいると、強引に手を繋がれ引っ張られました。
その瞬間、クラスから奇声が上がったけど、神野くんは一切振り向かずに教室を出て行った。
当然、私も連れられて外に出る。
校舎を出ると、さらに多くの人に見られている感じがあったけど、神野くんが大丈夫だと言ってくれるので、本当に大丈夫な感じがしました。