1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 2人で学校に戻ると、ちょうど授業が終わったところで、クラスメイトからの視線をもろに受けました。

 思わず立ちすくむ私を、神野くんが庇うように前に立ってくれて、その視線を防いでくれました。

「秋空くん、晴野さんとどこ行ってたの?」

「関係ねぇだろ。晴野、帰ろうぜ」

「…うん」

 教室に入ると、やっぱり視線が痛い。

 そうだよね、人気者の雷斗くんにあだ名で呼ばれ、神野くんとは授業抜け出したんだもん。

 神野くんはそんな視線を一切気にすることなくかばんを持つと、私の分のカバンも持ってくれる。

 片手に2人分のカバンを持つと、神野くんは開いた手を差し出してくれる。
 繋げって事かな…でも、視線が怖い…。

 手を差し出さずにいると、強引に手を繋がれ引っ張られました。

 その瞬間、クラスから奇声が上がったけど、神野くんは一切振り向かずに教室を出て行った。
 当然、私も連れられて外に出る。

 校舎を出ると、さらに多くの人に見られている感じがあったけど、神野くんが大丈夫だと言ってくれるので、本当に大丈夫な感じがしました。
< 128 / 313 >

この作品をシェア

pagetop