1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「おい、てめぇだれだ」

 ひぃ!?
 全然1件落着じゃないです。

 ぎくしゃくと振り返ると、鬼のような顔をした朔夜さんが神野くんを睨んでいます。

 ひぃっ、朔夜さんだけではなく、幹部の皆様でしたッ!?

 神野くんは突然話しかけてきた嵐鬼に驚きつつも、背後に私を隠して自分が前に出ます。
 その行動に朔夜さんの眉間のしわが更に深く…。

「嵐鬼の総長さんが、この子に何の用ですか」

「お前に関係ない。こっちによこせ」

「嫌です。彼女、俺の連れなんで」

 一触即発の空気が漂い始めました。

 嵐鬼の皆さんは私と神野くんの繋がりを知らない。そして、逆もしかり。

 その上1週間ぶりに学校に来たと思ったら頬にドでかい湿布。


 …私のせいです。完璧に…。

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