1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「ダチだから、話してるだけだけど?」
突然会話に入ってきた声に、私たちだけではなく、クラスメイト達全員がそちらに視線を向ける。
みれば、教室のドアのところでめんどくさそうにかばんを担ぎ、私の目の前にいるクラスメイトを睨みつけている神野くんがいました。
神野くんはまっすぐに歩いて来ると、自分の席にかばんを投げ、振り返ると私の前にいるクラスメイトを睨みつける。
「晴野いじめたら、人前に出られなくすっぞ」
まるで地を這う様な低い声。
その声には若干殺気さえこもっていて、
私を責めていた女子生徒を一気に震え上がらせた。それはクラスメイト達にも届いたようで…。
でも、気の強い女の子はこれで引き下がるはずがない。
そりゃそうだ。自分より劣っているはずの私が、神野くんに友達だと言わせるんです。
「…神野くん変だよ!こんな地味女のどこが…!」
「は、お前の方がよっぽど地味女じゃねぇの?なに、その化粧厚塗り。素顔見せらんないくらいひでぇの?本当の自分化粧で隠して、きれいになったつもりかよ。まぁ、そうだよな。化けるって漢字使うくらい化粧って人変えんだろ?」
神野くんの暴言にスッと、気の強い3人が黙った。
そんな3人に神野くんは残酷な笑みを浮かべる。