1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 そんなテストが終わり、私は久々に情報屋の格好をしておひさまの家に向かっていました。

 あの日以来、情報屋として動くのは初です。頬の傷はもう気にならないくらいにはなりましたが、少しトラウマです。

 でも、おひさまの家の施設長さんのお願いの人物の名前を聞いていないのでいい加減、聞きに行かなくてはです。
 ついでに少し早くていつもより少ないですが、お金も持って。

さて、施設長さんはどちらに…。

「情報屋さん?」

「あ、お久しぶりです」

 またまた買い物帰りでした。
 とりあえず荷物運びを手伝って、またお茶を出してもらいました。

「どうしたんですか。少し早いように思いましたが…」

「すみません。施設長さんのお願いされた男の子の名前聞いていなかったので。あと、事情によりいつもより少ないですが…」

「あぁ、そう言えばそうでした。情報屋さん、いつもありがとうございます」

「お礼はいいです。それより、名前だけでも教えてくれませんか。調べようがなくて…」

 施設長さんはお金を大事そうに受け取ると、おもむろに立ち上がり、戸棚の中を調べ始めました。

 やがて出てきたのは1枚の写真。
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