1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
それを私に差し出して来たので、両手で受け取ります。そこに写っていたのは集合写真。
あぁ、これは私がここに寄付を始めた前後の辺りです。
貧しいはずなのに、笑顔の子どもたち。施設長さんは子どもたちを守るために相当尽力されて来たようですね…。
見つめていた写真の中に、ふと見覚えのある顔を見つけ、よく見てみると思わず目を見開きました。
どうして、彼がここに…。
施設長さんは、私の目の前の席に座ると、ため息をつくように話しはじめました。
「その写真の1番右の男の子。その子を見守って欲しいんです」
心臓が嫌な音を立てる。
嘘、彼が…?
「名前は、神野秋空。高校1年生です」