1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 苦笑が浮かびましたが、表情を引き締めます。
 久しぶりの仕事。気は抜けない。

 長そでのシャツにジーパン、真っ黒なパーカーを羽織る。
 あ、前のパーカーはボロボロになってしまったので、また新しいものをお母さんが用意してくれました。

 情報屋久々に仕事します。
 リビングに顔を出すと、私の格好を見たお父さんとお母さんの表情から笑顔が消える。

「よも」

「大丈夫。今度はあんなヘマやらないから」

「…はぁ、何かあったら電話しなさい」

「うん」

 お父さんも様子を見ているお母さんもかなり複雑な顔をしましたが、玄関まで送り出してくれました。
 智希と望亜も不安そうな顔で手を振って見送ってくれます。
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