1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 ピンポーンっと来客を告げる音。お母さんが返事をして玄関へ向かう。その対象に、お父さんは舌打ちした。

「あいつら、邪魔すんじゃねぇよ」

 一気に不機嫌になったお父さん。見たわけでもないのに来た人が分かったみたいです。
 流石です。

 そのうち玄関の方が賑やかになって、リビングに3人の男性と1人の女性が入ってきて、その後ろからお母さんがついてくる。

「よもぎ!元気か?って制服じゃねぇの?」

「なんだなんだ、制服着ろよ」

「ともくんとみあちゃんが起きちゃいます。あと、変態はお帰りください」

「おーおー。帰れ帰れ~」

 私の言葉に茶々をいれるお父さん。すると、やって来た男性のうちチャラい2人ががっくりと肩を落とす。

「よもぎちゃん、元気そうで何より」

「よも~、お古だけど持ってきたから後で着てみて?」

 残る男性の1人と女性がそれぞれ挨拶してくれる。
 女性は大きな紙袋をその場においておいてくれました。


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