1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
トラウマ
翌日。
あれから家に戻ってすぐに布団に入りましたが、なかなか眠れませんでした。
お陰様であくびをしながらの登校です。
うぅ、情けない…。
神野くんは何であんなに悲しそうにしていたんでしょうか。
あの時、出会ってわずかしかないけど、初めて神野くんに拒絶された。
それが、どうしてこんなに苦しいのか分からない。
なんだか朝から憂鬱ですね。
「晴野」
「うわっ!?」
背中突かれました。くすぐったくて苦手なんです。
それに変な声でましたよ!?
振り返れば、神野くんが噴き出して笑っているところでした。
もとはと言えば神野くんのせいなのに、それを笑うなんてひどいですね。
「晴野、可愛い声してんじゃんか」
「うるさいです」
「でた、晴野のネコ」
ネコとはなんですか!私は今機嫌が悪いんです。
神野くんを無視して歩き出すと、神野くんは隣にやってきました。
むぅ、あまりに当然のようにやって来るので反論できないですね。