1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「蓬」

「…授業でてきます。大丈夫です。ご心配おかけしました」

 起き上がろうとした瞬間に肩を掴まれてしまいました。
 でも、ここに長居したくありません。

 朔夜さんはしばらく私を見つめていましたが、やがてため息をついて離してくれました。

「雷斗、蓬から離れんな」

「はい!」

「大丈夫です。それに、雷斗くんが隣に居るとうるさいので遠慮します」

「よもちゃん、俺のこと嫌い?」

「嫌いではありません。でも、うるさいのは嫌です」

 ちょこっと寂しそうな雷斗くんを放っておいて、朔夜さんたちにお礼を言って屋上を出ました。
 それにしてもどうして倒れたんでしょうね…。

 朝のHRが始まる直前に教室に入れました。
 ギリギリセーフです。
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