1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 授業が終わった放課後、私と神野くんは図書館にいました。

 テストが終わってからはこもって勉強することはなかったんですが、今日は神野くんに問答無用で連れて来られてしまいました。

 今日の神野くんは1日中不機嫌で、いつも一緒に食べているお昼もなぜか雷斗くんが加わったことで、ずっと不機嫌でした。

 そして私は1日中睨まれないことはなかったですね。
 朝、嵐鬼のみなさんに助けてもらったことが相当妬みになっているようです。

 うぅ、私の静かなスクールライフが…。

 はぁとため息をつくと、神野くんが振り返りました。

「…そんなに嫌だった?」

「え?」

「俺の隣、嫌だ?」

 悲しそうな目で見つめてくる神野くんに何も言えなくなってしまいました。

 違う。神野くんの隣は心地よくて、嫌だなんてことはありません。
 なのに、なんで神野くんは勘違いしてしまっているんですか…?
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