1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
自分の家 秋空side
父親は薬中で、母親はそんな父親のせいで借金まみれの生活。
朝も夜も関係なしに働いて、父親の手から必死に俺を守ってくれていた。
でも、そんなのがずっと続くはずはなくて、5歳の時、母親は俺を残して逝ってしまった。
過労死、だった。
「秋空、ごめんね」
母さんの最期の言葉は多分、謝ってた。
でも、俺は何も言えなくて、母さんは笑いながら泣いてたんだ。
父親は違法ドラックに手を染めて捕まった。
同じ時期だった。
脅威となる父がいなくなったことで、もともと弱っていた母親は緊張の糸が切れてしまったのかもしれない。
でも、母親が死んで、父親が捕まったというのに、5歳の俺は泣くことが出来なかった。
引き取り手もなく、行きついたのが「たいようの家」だった。