1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 でも、俺が中学2年くらいだったかな、施設が立ち行き行かなくなっていったんだ。

 理由は、保護の対象外の子どもを匿っていたから。
 施設で保護のできる年齢、条件に合わない子どもを施設長は施設にいさせていた。

 子どもたちから家を取り上げることは出来ないって。

 援助の対象外にされて、施設長の他にいた支援員がやめていって、気づいたら施設長1人で「おひさまの家」を守っていて。
 その姿に自分の母親の姿が重なって、怖くなった。

 もし、いなくなったら、俺は、俺たちはどうなってしまうんだろうって。

 俺ら中学生の奴や高校生の奴らが考えて、募金活動や高校生組がバイトに出てなんとか施設を立ち行かせてた。

 でも、それも限界に近くて、中には学校やめて就職して、施設に金入れてた奴もいた。

 それでも、全然お金は足りなくて、施設長も過労で倒れて、もう、施設を閉じるしかないって話までついてた。
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