1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「今はこれだけしかない。でも、必ずまた来ます。ここを潰させたりさせませんから」

「ですが、受け取れ…」

「きれいって、言えないかもしれない。でも、これは私が取引で正式に受け取った物。受け取ってください。そして、子どもたちを手放さないで」

 影は施設長に無理矢理何かを突き渡すと、すぐに立ち去ってしまった。

 施設長は受け取った物に呆然としていたけど、慌てて立ち去っていく背に声をかけた。

「待ってください!あなたの名前は?」

「…私は…しがない情報屋です」

 それだけを答えて、情報屋は立ち去ってしまった。

 情報屋が置いて行ったのは現金の100万。

 あまりの金額に施設長も、高校生組も、中学生組も驚いて何も言えなかった。
 でも、そのおかげで「おひさまの家」はなくならずに済んだ。

 私立として運営が出来るようになった。
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