1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「紅葉、今日はよもぎの誕生日だぞ」

「分かってるわよ。バカにしないでくれない?よも、誕生日おめでとね。颯人と私から」

 はいと差し出された物は、見るからに高級そう。
 こんな高価そうなものを受け取れというのですか!?

「紅葉さん、お気持ちだけ…」

「よも?私と颯人から。ね?」

「は…ハイ。アリガトウゴザイマス」

 怖いです。背後によく分からない黒いオーラが見えました。

 おずおずと受け取ると、黒いオーラは消えました。一安心です。

「よもぎちゃん、そんなに固くならないで。そんな恐縮するものでもないから」

 颯人さんはそう言うけど、これ絶対高いですよね。

 お父さんを見れば、開けてみろという様に促してくるだけ。素直にもらっていいのでしょうか…?

 なんだか注目されていますが、では開封させていただきましょう。
 紙袋からそっと取り出した箱はラッピングされていて、包装紙を破らないように慎重に解く。出てきたのはメガネケースで、淡い緑です。
 まさに春という感じです。


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