1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「晴野、唐突すぎ」
「え?」
「言うなら先に言えよ。俺なんか聞かれんのかと思ってた」
私のせいみたいですね。でも、なんだか怒れません。
思わず笑ってしまうと、神野くんは苦笑を浮かべてやれやれと言った様子です。
「晴野の親父さんがあの伝説のねぇ」
「神野くん知っているんですか」
「噂程度には?でも、嵐鬼自体に興味ないからよく知らねぇけどさ。…でも、晴野が怖がってること、その関係だけなのか」
「…私が人を…キラキラした世界の人たちを恐れるようになったのは、確かに嵐鬼絡みですね。でも、嵐鬼の人たちは私を救い出してくれた。それだけで十分です」
嫌ったりできません。
だって、お父さんも朔夜さんもずっと私のことを心配してくれているんですから。
神野くんはじっと私を見つめると、ふっと表情緩めました。