1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「神野くん、肩…」
「やだ」
「やだってなんですか。おばさまたちから生暖かい視線が…」
「気にすんな」
「…神野くんの神経は鈍ってます?」
「お前が尖りすぎなんだと思う」
売り言葉に買い言葉になっている気がするのは私だけでしょうか?
神野くんは離してくれるつもりはないようで、そのまま歩きます。
でも、あったかいので嫌じゃないです。
「あ」
「ん?…寄る?」
学校から私の家までの帰り道の途中にある公園。智希と望亜と遊びに来る公園で、情報屋として、神野くんとここまで逃げてきたこともありました。
神野くんはようやく肩を離してくれて、私たちはベンチに腰掛けました。
だんだん肌寒くなっていきますね…。
小さな子どもたちはそんなこと気にする様子もなくとっても元気です。
「…俺、ここで晴野に会ったことあるんだぜ」
「前のさぼりの日ですか?」
「ちげぇよ。高校はいる前。…お前、なんで話しかけてくんのかって聞いてきたことあるよな。俺にとって、お前は初めて会った奴でも、ただのクラスメイトでもなかったから。隣になった時、やっと話しかけられるって思って嬉しかったんだ」
「…会ったことありましたっけ?」
「覚えてねぇか。…施設のガキ連れてさ、ここに遊びに来たことあんだよ。でも、そこで悪がきがいたんだ」