1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
3人の子どもが、施設のガキをいじめてた。
何か言い返せばいいのに、チビたちは何も言い返せなくて。
いじめっ子の親は自分たちの子どものいうことなんか無視して話しこんでた。
いや、もしかしたら聞いてないふりだったのかもしれない。
「かえれよ!」
「こいつらいうこときかないからすてられたんだ!」
「わるいこだからだな」
「あははっ」
ガキの言ってることだって、分かってた。
でも、いくらガキでも言っていいことと悪いことがある。
俺たちは捨てられたんじゃない。
どうしようもなかったから、施設長が母さんの代わりになってくれたのに。
何度も言われた言葉でも、その言葉は俺たちの心の奥に突き刺さって、チビたちが泣き出した。
いじめっ子たちは余計に調子乗って、石拾いだした。
やばいって、察して慌ててガキたちの方に駆け出したけど、全然間に合いそうもなかった。