1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 女の子は男の子にともくんえらいね~とのんきに笑っててさ、さっきの剣幕なんてどこ行ったって感じだった。

「ねぇ、僕たち大丈夫だった?」

「…おねえちゃんありがと!」

「どういたしまして。…ともくん、一緒に遊んでもらったら?お友達つくれるよ」

「うん!いっしょにあそぼ!」

「いいよ!」

 チビたちと、男の子はすぐに馴染んで遊びだした。

 女の子はそんな様子を笑って見てた。不意に女の子が俺を見つけて、なんか納得した顔で俺を見てた。

「あなたがこの子たちのお兄ちゃんですね」

「え?あ…あぁ」

「いい子たちですね。とっても綺麗な目をしてる。あなたも、きっと育ててくれた人はまっすぐな温かい人なんですね」

 女の子の言葉に、救われたような気がした。

 もし、あのときあの子が飛び込んできてくれなかったら、俺があのガキを殴ってた。
 そしたら、絶対にあんな風に言い負かすなんて出来なかった。
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