1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 話し終えて晴野の顔見たら、ポカンってしてた。

 …おいおい、まさかあの大事件を忘れたわけじゃ…。

「あ、あの後、あのおばさんたち家に殴り込みに来ました」

 思い出したと同時にとんでもないこと言わなかったか!?

 晴野は懐かしい~とか笑ってるけど、聞き流せないようなこと言ってたと思うのは俺だけか!?

「おい、大丈夫だったのか」

「何がですか?」

「その、おばさんたち…」

「あぁ、それなら私が子どもが石投げるところや声を録音してたので、これ持って警察一緒に行きます?って言ったらそそくさと帰っていきましたよ」

 …たまに晴野の行動が恐ろしいと思うんだが。

 ニコニコと笑っている晴野からは想像できない事件だった。

 でも、あの時から俺はずっとこいつのことが忘れられなくて、高校で見つけた時すぐに話しかけようって思った。
 でも、晴野は誰とも口きかねぇし、話しかけるなオーラがすごくて話しかけられなかった。

 だから、あの席替えの時、たまたま隣になったことがチャンスだって思って、嫌がられてるの分かってても、話しかけた。

 あの時、話しかけてなかったら、晴野がこんなに話してくれることもなかったんだろうな…。
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