1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 改めて、あの頃の自分の行動を褒めたい。褒めていいだろう。

「…晴野、お前やっぱ変わってるよ」

「…そうですね」

 ふにゃって笑った顔が、前髪に隠れてほとんど見えないけど、無邪気で子どもっぽくてかわいいって思える。

 よく見れば、晴野の表情はよく変わる。
 笑ったり怒ったり、悲しんだり、始めて話しかけた時よりずっと表情が動くようになってる。
 無表情でも美人と言える顔だ。これが笑ったりするんだから、本当に心臓に悪い。

「神野くん、この後お時間ありますか」

「え?」

 晴野からそんなこと聞かれるの初めてじゃないか!?

 やばい、柄にもなく心臓が暴れてる。
 顔が赤くなってないだろうな!?って俺は何考えてんだよ!!

「…暇、だけど?」

「…会って欲しい人がいます。その人と会ってくれませんか?」
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