1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「晴野、俺を信じてくれ」
「…はい」
顔を上げた晴野は、不安の中に安心を見せて、泣き笑いな顔を見せた。
「19時、ここに来てください」
「分かった。…送って行こうか?」
「…大丈夫です。それに、送ってくれるなら夜がいいです」
「え?あ…会って欲しい奴と帰らねぇの?」
「…神野くんと帰ります。…晴野蓬として、あなたと帰れるように」
晴野蓬として…?
晴野は謎の言葉を残すと背を向けて歩き出した。
その顔はもう泣いていなくて、俺の手を振って家に走って行った。
晴野の後ろ姿を見送って、時計を見上げるともうすぐ18時。
あと1時間後。
帰るのめんどくせぇな…。
秋空side END