1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
告白
心臓がドキドキいっています。
急かな。でも、この機会を逃したら私はずっと逃げる。
神野くんが言ってた。相手のこと、知りたいって言って、自分のこと教えてないのに聞こうとするなんてずるいって。
私だってずるい。情報屋としての私は、ずるい。
でも、本当に情報屋としての私だけ?…ずるいのは晴野蓬も同じだ…。
鏡に映った情報屋の私。
顔を隠して、闇に身を隠して、全部、全部隠してきた。
痛みも、悲しみも、全部を隠すために、身を守るために、自分が隠れるために。
情報屋は私の弱いところだから。
「いいよね、神野くんの前では普通でいたいから」
だから、神野くんから逃げるのも、隠れるのもやめよう。
あんなにいい人をこれ以上偽りたくないから。
時計を見上げれば19時まであと15分を切ってる。
あの公園まで5分もかからないけど、もう行こうかな…。
階段を降りて、その音に気付いたのかリビングから智希と望亜が出て来ました。
2人とも耳がいいんです。