1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「ともくんたちと遊びに行く公園です」

「…30分して戻って来なかったら見に行くからな」

「はい」

 ポンッと頭を撫でたお父さんは、私にしがみ付いている望亜を捕まえてしまいました。
 その反対の手には智希がいるんですがねぇ。

 お父さんは隠れバカ力です。

「ねぇね」

「よもはお仕事だ。望亜はパパと遊ぼうな」

「や!」

 思わず沈黙です。望亜、お父さん凹んじゃいますよ。

「あ~、ねぇね!!」

「…いってきます」

「…あぁ。行って来い」

 もう、逃げません。ドアを開き、夜の闇が包む街へ踏み出す。

 う、やっぱり寒いですね。流石年末も近い。
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