1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「あ…」

「よもぎ、こういうの好きだろ?」

「よも、物持ち良すぎ」

 出てきたのはピアスとポーチです。
 透き通った葉の形をしたピアスはとっても綺麗です。
 そして、ポーチも随分汚れてしまっていたのを見られていたんでしょうか。

 よく見ればイニシャルまで入っています。少しだけ罪悪感。

「俊也さん、剣人さんありがとうございます。大切にします」

「おぅ!」

「おい俊也、俺の大事なよもはピアス開けてねぇんだよ」

「あ゛…」

 そこでしまったという表情をする俊也さん。確かに私はピアスの穴を開けていませんね。自分ですっかり忘れていました。

 動揺する俊也さん。でもせっかくならつけたいです。

「お母さん、ピアッサーってどこに売ってるかな」

「よも、開けるのか!?」

「うん。学校の校則違反にもならないから、大丈夫」

 驚いたのはお父さんです。お父さんも開けているのにどうしてびっくりするんですかね?

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