1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「ん、ん~!!」
「あ、わり…」
離してくれましたが、び…びっくりしました…。
神野くんの顔はなんだか赤い…です。なんでですか?
「…つまり、晴野は俺のこと知りたいって思ってたってこと?」
「…そうですね。少なくとも、過去のことは知りたいと思っていました。神野くんが教えてくれたのに、私は自分のこと何も話してなかったから」
だから、全部明かそうって思ったんです。
神野くんは頬をかくと、苦笑を浮かべた。
「そっか、俺知られたいって思われてたんだ」
「え?」
「いや、なんでもない。…晴野、聞いてもいいか」
「はい。そのためにここに来たんです」
「なんで、情報屋なんてやってるんだ」
「…そうですね。それは、私の過去を話しながらでもいいですか?」
「あぁ。…座れば?」
そう言えば立ったままでした。
神野くんが空けてくれたお隣に座ると、手を握られました。
神野くんの手はずっと外にいたはずなのにあったかいです。
ゆっくりと息を吸い込む。
大丈夫。話せる。
神野くんに視線を向けると、神野くんはじっと私を見つめてきていました。
「…私は、神野くんと同じ。本当の両親がいません」