1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「一緒に来るか?」
「…?」
「蓬、寒いだろ?とりあえずあったかいところ行こうぜ」
お父さんの差し出した手を、私は意味も分からないままに握り返した。
そして、お父さんは私を連れて自分たちの居場所…嵐鬼の倉庫に連れて行ってくれたんです。
とりあえずその日は寝て、次の日一緒に警察に行きました。
でも、私の捜索願は出されていなくて、その後も出されることはありませんでした。
結局、身元不明の私はお父さんに育てられることになったんです。
当時高校生ですよ?
でも、お父さんは私を抱っこして、俺の娘だって言ってくれたんです。
その頃からお父さんと付き合っていたお母さんが、お母さんになってくれて、私は2人の子どもとして育てられました。
嵐鬼の皆さんには遊び相手になってもらったりしていたので、お父さんの代から仲のいい人はいます。
普通に学校に行って、友達がいて、優しいお父さんとお母さんがいて、私は幸せです。