1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「蓬!!」

「ッ!!?お前ら!!!」

 これも、覚えていませんが、朔夜さんたちが助けに来てくれて、私はすぐに病院に運ばれました。

 その時の私は、自分を守るために感情を捨てていたそうです。

 病院で意識を取り戻したのは1か月後。
 お父さんに抱きしめられてやっと助かったんだって分かって大泣きしました。

 私を監禁した人たちは警察に捕まり、いじめも発覚して関係した生徒は全員書類送検されました。
 ここまでしたのは、私の状態があまりにも過酷だったからだそうです。

 櫻高校に私の学年で行った生徒は私を含め2人しかいません。他は全員入学拒否の通達を受けたので…。

 それ以来です。嵐鬼の皆さんとの関わりを知られるのが怖くて、誰とも口を聞かなくなって、必要以上に嵐鬼のたまり場に行くこともなくなりました。
 前髪を伸ばして顔を隠すようになったのもこの頃です。

 中学には、テスト前くらいに少しだけ行っていました。普段は渉さんが家庭教師をしに来てくれたので、勉強には困りませんでした。

 それでも、誰とも話せなくて机に座っているだけでしたが…。
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