1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
それ以来、すこしずつ情報交換をして行くうちにいつしか取引とかいう話しまで出てきて、情報をくれない人が代わりにお金を渡してくるようになって…。
はじめは自分を守るためだけに集めていた情報がいつしかビジネスになってしまったんです。
情報屋と呼ばれる前にお父さんは私のやっていることを見抜いて、わざとお客の振りをしてまで私を試したんです。
本当の情報を扱えているかを確かめるために。
「…正解だ」
「え、正解って!!?」
「悪いな試させてもらったんだ。…もういいだろ?」
顔を隠すためのフードを取られて、お父さんに手を差し出してきました。
「帰ろう。よも」
「…お父さん」
「ん?あぁ、ごめんな。心配だったからな」
あんなことの後ということもあって、お父さんは私を守ってくれていたんです。