1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 そう言えば、30分どころか1時間経っていましたね…。

 それにしても、どうしてあんなに殺気立っていらっしゃるんでしょう…。

「お、お父さん?」

「…よも、離れなさい」

「え?」

「あ…わっ、悪い!」

 静かに公園の中に入ってくるお父さん。こ、怖いです…!

 そして、神野くんに抱きしめられたままでした。
 お父さんに見られていたなんて恥ずかし過ぎます!

「お父さん、あの、ど、どうしたんですか」

「話せたのか」

「はい。それは、話せました」

「で、なんで抱きしめてた?」

「えっと、つい…」

 ひぇ~!?なんでこんなに怖いんですか!?
 警察の事情聴取並みの緊張です!

 神野くんも私も冷や汗です。

 お父さんはしばらく私と神野くんを見つめていましたが、やがてため息をつき、私の頭を撫で始めはした。
 ついでに殺気は霧散しています。…へ?
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