1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「よかったな。よも」

「あ…」

「神野くんだったか?よものこと、お願いな」

「えあ…は、はい!」

 お父さんの突然の変化について行けません。
 でも、お父さんはにこにこして私たちを見つめてきています。

 神野くんは意味が分からず私を見つめてきていますが、私も分からないですよ~!

「さてと、帰るぞ。とももみあもお待ちかねだ。神野くんも家の人が心配するだろ?」

「え…あ、そうっすね…」

 歯切れ悪く返した神野くんに思わず申し訳ない気持ちになる。
 神野くんはひとり暮らし。だから、どれだけ遅く帰っても心配してくれる人はいない。

「…お父さん、神野くんずっと私を守ってくれてたの。だから、お礼したい」

「よも?」

「もちろん、自分でも改めてお礼はするけど、神野くんをご飯に招待したらだめかな?お母さんの手料理おいしいから」

「晴野!?」

 何言ってるんだという顔を向けられてますね。
 でも、神野くん今から帰ってご飯を作る気なさそうですし…。
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