1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「ただいま」
「パパ~!」
お父さんの声にリビングから智希が飛び出してきます。
そして、私を見るとさらに表情が輝いたのですが、神野くんを見つけた途端、その表情はムッとしてしまいました。はて?
「ねーね!」
「うわっ!?」
お父さんじゃなかったんですか!?
智希はなぜか私に飛びついてくると、しっかり抱きついてきて離れません。
どうしたんですかね…。
「…っぷ、あははっなんだとも、ライバル登場か?」
お父さん、何故吹き出すんですか。神野くんを見れば微妙な表情ですね。
智希は私に抱きついているのになぜか神野くんを睨んじゃってますね。こんな風に人を威嚇する子ではないんですが…。
とりあえずリビングに上がると、お母さんが望亜を抱っこして迎えてくれました。
あれ、望亜の機嫌も悪い…。