1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「とも、みあ、姉ちゃんはご飯食べるんだ」

「だっこ!」

「う~」

 お父さんが言っても効果なし。

 やれやれ、今日は本当に強情ですね。

 仕方なしにお母さんが低い机に用意してくれたので、両脇に智希と望亜がくっついて来てますがご飯です。
 ついでに神野くんはお父さんとダイニングテーブルです。

 なんだか気まずそうです…。

 でも、心配していたのもつかの間、ご飯を食べ終わることにはなぜかお父さんとすっかり打ち解けています。ついでにお母さんまで…。

「そうか、おひさまの家の子だったのか」

「まぁ、そうですね…」

「時々ご飯食べに来なさい?いくら仕送りがあるからってきついでしょう?」

 お父さんもお母さんも放っておけない性格なので面倒見がとてもいいんです。

 神野くんは戸惑いながらもお父さんとお母さんに時折笑みを見せています。
 なんだか、いつも引っ張って行ってくれる神野くんとはまた違った神野くんです。
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