1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 はう、なんだか朝から疲れました…。

 にしても、席についてまで視線がやみませんね。

 でも、仕方ないですよね。昨日は嵐鬼に助けられたあげく、神野くんにもずっと迷惑かけっぱなしだったんですから。

 人気者の人たちに助けられて空気でいられるはずがありません。

 でも、視線を向けられるのは嫌いなんです!出来れば注目しないでください!!

「あ、晴野もう来てたんだ」

「…神野くん?」

 頭の上から聞こえてきた声に、ちょっとだけ顔を上げます。
 そこには、予想した通り、お隣の席の神野くんです。

 神野くんは私と目が合った途端、その場で硬直してしまいました。

 …やっぱり前髪切らなきゃよかったです。

「…晴野、前髪…」

「うぅ、切らなきゃよかったです」

「そーだな…」

 あう、神野くんにまで言われるとは。

 私の顔はどうやら想像以上に不細工みたいです。
 お父さんとお母さんの本当の子どもとして生まれたかったです…。
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