1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「よもちゃん!!?」
「…雷斗くんなんて嫌いです」
「何で前髪切っちゃったの!?せっかく、よもちゃんが危険なオオカミから狙われる心配がなくて安心してたのに!これじゃあ俺、授業安心してさぼれないじゃんか!!」
なんだか私の声は雷斗くんの耳に届かなかったみたいですね。ついでにうるさいです。
というより…。
「オオカミさんは森の中じゃないですか。あ、このクラスのオオカミさんは私のお隣に居る方だけです」
「おい、晴野。何で俺限定でオオカミなんだ」
「え、それは神野くんが1匹オオカミさんなので」
「「…」」
なんで黙るんでしょうか。
雷斗くんはため息をつき、神野くんは頭を掻いています。
なんで呆れられてるんでしょうね。
「おい、大宮。こいつ中学からこんなんか」
「そうだね。中学の時から…って、なんで神野が俺とよもちゃんが中学同じだって知ってんだよ」
雷斗くんはなぜか私を抱きしめて、神野くんに威嚇していますね。
えーと、雷斗くんのせいで悲鳴が奇声になり、ついでに気のせいだと思っていた殺気が倍増しました。
雷斗くん、やっぱり嫌いです。