1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「雷斗くん離れてください」

「え、なんで?」

「…約束破った人は嫌いです」

「え、あ…ごめん。でも、俺がよもちゃん守るから!」

「うるさいのでご遠慮します。雷斗くんより神野くんの方が静かなので」

「ッ!?…おい、神野。よもちゃんになに吹き込んだ…」

 なぜだか雷斗くんのまとう雰囲気が一気に族のそれに…。

 その殺気に先ほどから騒いでいるクラスメイトたちが黙り込んでしまいましたよ!?

 神野くんは呆れてますね。
 え、怖がってる様子なんて全くありませんよ。

「吹き込んでねぇし。つか、ダチだし」

「よもちゃんが神野なんかを友達に…」

「お友達ですよ。神野くんは高校でのお友達第1号さんです」

「ほらな」

 シュンっと雷斗くんの殺気が仕舞われました。
 ついでにクラスメイト達は壁際に避難中です。

 気を落とした雷斗くんですが、なぜだかすぐに復活して、私の手を強引に引っ張ります。
 え?
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