1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「よもちゃん、屋上行くよ!」

「え?これから朝のHRが…」

「そんなのどうでもいいでしょ!よもちゃんをこんな奴の隣に置いとくくらいなら、さぼろ!」

「言ってる意味が分かりません。それに、出席取らないと学校来ている意味ないじゃないですか!」

 なんで雷斗くんは怒ってるんですか!?それに私を巻き込まないでくださいッ。
 私は無事にこの高校を卒業したいんです!

 引っ張って行こうとする雷斗くんに対抗してその場に踏みとどまる私。

 よく分からない綱引き状態です。
 でも、う~、腕が痛い…。でも連れて行かれるなんてまっぴらです!

 一生懸命踏ん張っていると、不意に抵抗がなくなって倒れそうになります。
 え、勢いかなりありませんでした…?ということは痛い!

 ぎゅっと目を瞑ると、次の瞬間温かい何かに支えられました。あれ?

「腕、平気か?」

 顔を上げれば、心配そうな神野くんがいて、思わずホッとしました。
 神野くんに助けてもらってばっかりですね。
< 232 / 313 >

この作品をシェア

pagetop