1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「いった…」

 一方雷斗くんは全力で床に倒れたようです。痛そう…。

 雷斗くんは起き上がると、神野くんはこれまでにないほど鋭く睨みつけています。
 そして霧散していたはずのオーラ再び。

 雷斗くんが神野くんに掴みかかりそうになった瞬間、教室のドアが開かれ先生が入ってきました。

 先生、ナイスタイミングです。

「出席取るぞ。大宮、神野、座れ」

 あれ、私が呼ばれなかったのは見えなかったんですかね?

 そんなことはどうでもいいとして、雷斗くんは荒々しく舌打ちすると、私の後ろの席に座りました。
 神野くんはすぐに私から離れ、お隣の席に。
 私もすぐに座ると、先生は不機嫌な雷斗くんと神野くんを見て、私を見てきました。

「あれ、…晴野?」

「はい?」

「…前髪、似合ってるぞ」

「…ありがとうございます?」

 なんだか褒められました。

 その後すぐに出席を取り、先生は教室を出て行かれます。ついでにクラスメイト達の半分くらいも出て行っちゃいましたね。

 さて、1時間目は…。

「よもちゃん、来て」

「え?あ…雷斗くん!?」

 なんで連れて行かれるんですか!?

 雷斗くんの手を振りほどこうにも力及ばず。私は教室を連れ出されてしまいました。
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