1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
友達
「雷斗くん、痛いですッ」
雷斗くんは私の言葉を無視してどんどん階段を上って行きます。
雷斗くんが通るたびに奇声が上がりますが、そんな声もすぐに止んでしまします。
どうしてそんなに怒っているんですか…?
怒っている雷斗くんに抵抗する気も失せてきて、今では大人しく雷斗くんの後について行きます。
掴まれた手首が痛い…。雷斗くんの手にはずっと力がこもっていて、その横顔も険しいままです。
そのままたどり着いたのは屋上。
あう、12月も近い時期に来たら寒いですよ…。
雷斗くんは迷いなく屋上のドアを開けて足を踏み入れました。
あう、やっぱり寒い…。
「あれ、雷斗あんた授業出るんじゃなかったの?」
聞こえてきた声は輝星さんです。輝星さんの位置から私は見えないようで、いきなりやって来た雷斗くんにびっくりした様子です。