1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「…蓬、俺たちはお前にとって頼りないのか」
「え?」
「その神野って奴は昨日の奴だろ?あいつも、俺たちのように女から好意を持たれているはずだ。蓬にとっては怖い奴だろ」
朔夜さんは、試すように私を見ているような気がします。
私は、この人たちを傷つけているんですね…。
「…確かに最初はそうでした。意味もなく話しかけられて、家にまでついてこようとして、正直最低でした。
でも、いつからですかね。神野くんの存在が私の中で大きくなっていったんです。今までの人とは違う。そんな気がして、自分の過去も素性も、全部話せたのは神野くんが初めてです。
…嵐鬼のことが嫌いになったわけじゃありません。でも、しばらくの間そっとしてくれませんか。今は、神野くんと一緒にいたい。やっと、嵐鬼も関係のない人と話せるようになったんです」
朔夜さんは、表情を険しくさせています。他の皆さんも同じ。
…やっぱり、私には大きすぎたんですね。