1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「朔夜さん、これはやっぱりお返しします。私には不釣り合いです」

 ポケットから取り出したのは、誕生日プレゼントにもらった嵐鬼のピアス。
 それを見た瞬間、朔夜さんの表情がさらに険しくなりました。

 私が差し出した箱を、朔夜さんは睨みつけています。

「…朔夜さん」

「…ッチ」

「わっ!?」

 なぜだか箱を持っていた手首を掴まれ思いっきり朔夜さんの腕の中へ…?

 えぇ!!?

「さ、朔夜さん!?」

「焔」

「はいはい。よも、ちょっと失礼」

「きゃぁああ!?ほ、焔さん離してください!!」

 慌てて離れた私を、なぜだか焔さんが捕まえます。

 そしてなちゃっかりどこ触っているんですか!

「焔!」

「ぐえっ」

 うわぁ、渉さんの容赦ない回し蹴り炸裂…。

 でもなぜだか今度は渉さんに捕まえられてしまいました。

 …怒らせました。絶対怒らせました!
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