1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「ッ!!?い…」

「うわぁぁあああ!!?朔夜!!?」

 輝星さんの絶叫轟きました。

 う、痛いとかなんかそういう問題ではない気がします。
 ついでになんか耳から生暖かいものが伝ってきている気がするんですが…。

「…蓬、お前がいくら嫌がっても嵐鬼は、俺たちはお前から離れねぇぞ」

 朔夜さんの手には間違いなく、私の血が付いていて、耳には先ほどまでなかった重みがあります。

 渉さんを跳ねのけて、輝星さんが私を抱きしめてくれますが、体が勝手に震えはじめました。

 なんで、こんなこと…。

 分からない。朔夜さんたちが分からないッ

「よも!!?」

 輝星さんの手を振りほどいて、ドアに向かって走りました。
 体当たりするようにドアを開け、階段を駆け下りていく。

 嫌だ。あんなの、私の知ってる嵐鬼じゃないッ
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