1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
先生はすぐに氷とガーゼを持ってきてくれて、止血をした後、氷で冷やしてくれました。
「バカねぇ、ピアッサーがあるでしょ?」
「…はい」
「まさか、キミが?」
「何で俺がそんな物騒なことやるんすか」
なぜか疑いを向けられた神野くんは不機嫌です。
先生は呆れたようにため息をつくと、ピアスを洗って返してくれました。
氷袋を貰って、神野くんと教室に戻ります。
「…それ、大宮が?」
「いいえ、朔夜さんです」
「は、嵐鬼の総長?」
「はい…怒らせてしまったみたいで」
神野くんは呆然と目を見開いていましたが、やがてお前も大変だなと頭を撫でてくれました。
む、確かに大変かもしれないです。
「で、それどうすんだ」
「…できればつけたくないですね。重いですし」
「…それ、多分化膿するぞ」
「ですよね」
「…なぁ、晴野。今からさぼらねぇか?」
「へ?」