1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 先生はすぐに氷とガーゼを持ってきてくれて、止血をした後、氷で冷やしてくれました。

「バカねぇ、ピアッサーがあるでしょ?」

「…はい」

「まさか、キミが?」

「何で俺がそんな物騒なことやるんすか」

 なぜか疑いを向けられた神野くんは不機嫌です。

 先生は呆れたようにため息をつくと、ピアスを洗って返してくれました。
 氷袋を貰って、神野くんと教室に戻ります。

「…それ、大宮が?」

「いいえ、朔夜さんです」

「は、嵐鬼の総長?」

「はい…怒らせてしまったみたいで」

 神野くんは呆然と目を見開いていましたが、やがてお前も大変だなと頭を撫でてくれました。

 む、確かに大変かもしれないです。

「で、それどうすんだ」

「…できればつけたくないですね。重いですし」

「…それ、多分化膿するぞ」

「ですよね」

「…なぁ、晴野。今からさぼらねぇか?」

「へ?」
< 244 / 313 >

この作品をシェア

pagetop