1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「何名様ですか?」
「2人です」
「2名様ですね。こちらにどうぞ」
愛想のいい店員さんに案内されて、向かい合わせに座ります。
メニューを取りますがどれもボリュームたっぷりですね。
う、確かに気持ち悪くなりそう…。
「晴野、これにすれば?」
「…バカですか」
神野くんのおすすめは豚カツ2倍とかいう迫力満点な定食です。
流石にこれは食べれませんね…。
でも、おいしそうなので食べてみたいです。あ、小さなサイズ発見です。
「つまんねぇの。すみません。これください」
「はい、豚カツ2倍の定食ですね。お連れ様は」
「あ、これで…」
「レディースセットですね。少々お待ちください」
神野くんは2倍だそうです。細い体のどこに入って行くのやら…。
「神野くん、意外に食べるんですね」
「え?あ~、家で食うのめんどい」
「普段食べてないんですか!?」
「いや、食ってるけど…適当だな」
神野くんの食生活、誰か正してあげてください。
思わずため息をつくと神野くんは笑っていました。自分のことなのに…。