1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「あれ、何だ秋空。彼女か」
「あ、やっぱいたのかよ。ちぇ、晴野、こいつ無視していいから」
「おい、兄貴に向かってなんだよそれ」
厨房から出てきた男性と楽しそうに話しはじめた神野くん。
って、兄貴?お兄さんのこと?
「神野くん、お兄さんいたんですか」
「え?そりゃいるに決まってんだろ?血は繋がってねぇけど」
「俺と秋空は一緒に夜を明かしてたからな」
「同室ってだけでキモいこと言ってんじゃねぇよ」
神野くんの拳がお兄さん?の顎にクリーンヒット。
うわ、痛そうです…。
「秋空、兄はお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」
「誰がお前に育てられたって?いつも俺盾にして逃げてた奴が!」
神野くんの口調は怒っているのに、表情はとっても穏やかです。
きっと、信用し合っているんですね。いいなぁ。