1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「…神野くんは開けてほしいですか?」

「…気に入ったピアスが見つかれば」

「じゃあ、見つかったら開けたままにします」

「じゃ、気に入るやつみつけっか」

 あれ、やっぱり開けたままでいてほしいんですかね。

 そんな調子で3階のお店も網羅していきますが、なかなかいいものが見つかりません。

 なんか疲れてきちゃいました…。

「はぁ、諦めて帰るか…」

「…ですね」

 結局見つかりませんでした。
 うぅ、せっかく探したのに…。

「…晴野、これ」

「え?」

 ショッピングモールを出ながら差し出してきたのは小さな袋です。

 それを受け取ると、神野くんはすぐに顔を背けて歩いて行ってしまいます。

 中を見ると、出てきたのはイヤホンジャックです。桜の形をしたガラスがきれいでかわいいです。

 それを眺めていると、神野くんが戻って来ました。
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