1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「あれ、ハルと番号違うんだな」

「あ、携帯違うんです。お父さんの指示で」

「へぇ、大事にされてんだな」

「はい」

 お父さんのことを褒められる嬉しいですね。

 神野くんの送るという一言でまた歩きはじめます。

 電車を駅1つ分だけ乗って、最寄駅へ。ゆっくりと家のほうに歩きます。

「晴野、病院行けよ?」

「言われなくても、多分連れて行かれます」

「マジで?」

「前に怪我した時も強制連行でしたよ」

「いや、あれは誰でもそうするだろ」

 呆れた顔をされちゃいましたね。でも、なんだか楽しくて勝手に笑っちゃいます。

 神野くんも隣で微笑んでいます。

 なんか穏やかで、こんな雰囲気好きです。
 ずっと、続けばいいのにな…。
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