1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 行きついた先が市民病院であることに神野くんはびっくりです。

「なぁ、大袈裟じゃねぇか?」

「嵐鬼のOBさんがここで働いていて、何かあるとここに来るんです」

「あ~、なるほど…」

 納得した神野くん。それでいいんですか。

 お父さんは私と神野くんを連れて、受付で剣人さんの居場所行くと、診察室ではなく直接お部屋へ行くみたいです。
 …いいんでしょうか。

「剣人、邪魔するぞ」

「今日はどうした?」

 剣人さん苦笑いです。

 ですが、神野くんを見ると少しびっくりしたように目を丸くしました。

「え、よも友達?」

「はい。神野秋空くんです」

「はじめまして」

「はじめまして?…清牙、俺若い2人の邪魔したくないんだけど…」

「バカ、そうじゃねぇ。耳見てみろ」

「耳?…よも、絆創膏取るよ」

 剣人さん一瞬でお医者さんの顔になりました。
 看護師さんがガーゼなどをさりげなく置いて行ってくれました。流石、看護師さんです。
< 259 / 313 >

この作品をシェア

pagetop